【試し読みあり!既刊紹介】現代魔術の源流[黄金の夜明け団]入門

【メディア掲載情報】

京大生協書評誌『綴葉』さん No.368で本書をご紹介いただきました!「文化史的、あるいはそれ以上に実践的関心からも読まれて然るべき一冊」綴葉編集委員会のみなさん、評者の霊人さん、ありがとうございます!

本書の概要

2017年12月刊行とすこし前のものですが、担当書籍のご紹介です。

『現代魔術の源流 [黄金の夜明け団]入門』
チック・シセロ、サンドラ・タバサ・シセロ著、江口之隆訳
ヒカルランド、2017年

*全国の本屋さん、ヒカルランドHPe-honhontoAmazonなどのネット書店さんで好評発売中。

タロットや魔術の世界に興味があれば、心ときめかずにはいられない名前「黄金の夜明け団」(The Hermetic Order of the Golden Dawn)。

その現役団員のシセロ夫妻の執筆による、いままでになくわかりやすく、かつ黄金の夜明け団の歴史・関係人物・魔術実践方法を網羅した決定版入門書です。

訳・解説は、日本における黄金の夜明け団研究の第一人者として著名な江口之隆さん。フォロワー6万人超の大人気Twitterアカウント「西洋魔術博物館」で、魅惑的な西洋の魔術や民間伝承の世界について貴重画像や情報の発信を行われています(HPもあり)。

クロウリーの『777の書』(国書刊行会)、『ムーンチャイルド』(東京創元社)など、数々の魔術関連本をご翻訳。1983年に出された『世界魔法大全1 黄金の夜明け』(国書刊行会)は、日本から見た黄金の夜明け団の魅力や分析が綴られていて、刊行から40年近く経つ現在でも本当に面白い!本書とあわせてのご購読がオススメです。

黄金の夜明け団の団員には現代魔術の有名人がいっぱいいますが、わたしにとって気になる人物は、やっぱり、世界で最も有名なデッキ「ウェイト=スミス・タロットカード」をつくったこのおふたり。

アーサー・エドワード・ウェイト
パメラ・コールマン・スミス、通称「ピクシー」

このおふたりやウェイト=スミス・タロットについては、やはり江口先生翻訳の『ウェイト=スミス・タロット物語』(ヒカルランド)で詳しく紹介されていますので、ぜひご参照ください。

本書『[黄金の夜明け団]入門』にかんしても、ご紹介したい読みどころや、制作段階でのいろいろなエピソードがい〜〜〜っぱいあるのですが、残念ながら新刊の制作に追われているため、あらためて別の機会に ( ;∀;)

でも、ものすごーく、おおざっぱな感想を書いておくと、黄金の夜明け団の活動って、参入志望者から幹部までの位階制度から、魔術儀式における演劇成分とか、自分で絵を描いて色を塗ってマイタロットを作る、伝説的神秘家クリスチャン・ローゼンクロイツの墓所をつくる…とか、ほ〜んと、いろんな要素があって面白い!

儀式魔術家、画家、詩人(ノーベル文学賞受賞者のイエイツも一時期、ゴールデンドーンの団員だった)、演劇人等々、世紀末ロンドンの当代一の文化人たちが集う、ある種、社交サロンみたいな感じ。それぞれのジャンルのプロが集い、魔術作業にいそしむのはほんと楽しかったんじゃないかと思います。魔術や個々人の霊的成長への効果のほどは今となっては検証のしようもないけれど、そこから現在でも多くの人が親しむ優れた神秘的文化が生まれたことはたしかなんじゃないんでしょうか。

黄金の夜明け団はアニメや漫画、ゲームでもよく取り上げられています。

こちらは、黄金の夜明け団が大活躍するコミック『メイザース ソロモンの魔術師と明治の文豪』(徳間書店)。英国に渡った文豪・夏目漱石が黄金の夜明け団首領のメイザースと知り合い、悪の権化(←驚きのあの人)と戦うという破天荒なストーリーが超面白い&圧倒的な作画力! わたくしは単行本から入った組ですが、いまも首を長くして続刊を待ち望んでおります。

近年では、ギリシャで台頭した極右政党の名前がまさに「黄金の夜明け」でちょっとびっくり。

いろいろな陰謀論とも結びつけられて語られることも多いようですが、それだけ、なにか「魅力」を放つ団体なのでしょうね。

ということで、ぜひぜひ本書をご高覧いただけますと幸いです。

江口先生の翻訳による近刊、『スーパーナチュラル・ウォー 第一次世界大戦と驚異のオカルト・魔術・民間信仰』(オーウェン・デイヴィス著、2020年4月27日刊行予定、ヒカルランド)もどうぞよろしくお願いします♪

本の中身が「試し読み」できます!

本書の「巻頭口絵」(※一部)「目次」「序章」「第二章」(※一部)「索引」が出版元のヒカルランドHPで試し読みできます!→PCの方は、こちらをクリックして、リンク先の書籍ページで「試し読みはこちら」のボタンを押してください。

スマートフォンの方は、こちら(↓)のリンクからご覧ください。

内容紹介

霧深き19世紀末ロンドン
大栄帝都の片隅に世界オカルト史に
燦然と名を残す魔術結社が誕生した。

その名は「黄金の夜明け団」(The Hermetic Order of the Golden Dawn)。

ヘルメス学、エジプト魔術、錬金術、カバラ、占星術など
西洋秘教伝統の膨大な蓄積を体系化したその教義は、
20世紀以降の魔術・スピリチュアル理論に決定的な影響を与えた。 

世界で最も有名なライダー版タロットの作者である
アーサー・E・ウェイトとパメラ・C・スミス、
アイルランドのノーベル文学賞詩人、ウィリアム・B・イェイツ、
稀代のカリスマ魔術師 アレイスター・クロウリー、
天才的儀式魔術作家 サミュエル・L・マサース……

本書は、西洋魔術界の傑出人物を多数輩出し、
今も多くのひとびとを魅了してやまない
黄金の夜明け団の《歴史・人物・教義》のすべてを明らかにし、
現代の魔術師たちのスピリチュアル・パスの探求に資するものである。

目次紹介

巻頭口絵
序章
第1章 ヘルメス学と西洋秘教伝統

 ヘルメス学:その起源
 ヘルメス学に影響を与えたもの
  エジプトの宗教と魔術/ギリシャの古典/ギリシャの密儀宗教/ストア哲学/グノーシス教/新プラトン主義
 ヘルメス学
 要約:初期ヘルメス学に対して重要な影響を及ぼした諸派
 ヘルメス文献
 キリスト教とヘルメス学
 ルネッサンス期のヘルメス・トリスメギストス
 その後にヘルメス学に添加されたもの
 黄金の夜明けのヘルメス原理
第2章 黄金の夜明けの簡略なる歴史
 夜明け前
 黄金の夜明けの創立者たち
 暗号文書
 初期有名団員たち
 ルビーの薔薇と金の十字架
 問題発生
 分派
第3章 魔術:その正体と仕組み
 魔術の定義
 魔術と宗教
 西洋魔術の古代起源
 中世の魔術
 ルネッサンスの魔術
 魔術はどのように働くのか
 魔術:なぞの技術
 高等魔術:テウルギア
 霊的存在との作業
 黄金の夜明けの魔術
第4章 黄金の夜明けシステムの構造
 位階と司官
 大いに誉むべき首領たち
 テンプル・チーフ
  インペレーター/プレモンストレーター/カンセラリウス
 黄金の夜明け団外陣の司官たち
  ハイエロファント/ハイエルース/ヘゲモン/ケリクス/ストリステス/ダドゥコス/フィラクス
 儀式劇としての秘儀参入
 三段階
 外陣位階:第一段階
  ニオファイト位階/ジェレーター位階/セオリカス位階/プラクティカス位階/フィロソファス位階
 予備門:第二段階
 内陣:第三段階
 第三団
第5章 黄金の夜明けの儀式
 カバラ十字(QC)
 小五芒星追儺儀式(LBRP)
 魔術的所作
  投射の合図/沈黙の合図
 小五芒星召喚儀式(LIRP)
 中央の柱の実践
  柱の確立/周回その一:体側/周回その二:前後/周回その三:光のシャワー/周回その四:螺旋上昇(オプション)
 儀式場と魔術道具
 儀式の準備
 黄金の夜明け儀式の基本ステップ
  1)儀式の開始宣言/2)追儺儀式/3)最初の浄化と聖別/4)周行(光のフェイドイン)/5)宇宙の主を称える礼拝/6)召喚儀式
 三角形の召喚儀式
  7)至高者の召喚/8)主要作業/9)儀式場の最終浄化と聖別/10)逆周行(光のフェイドアウト)/11)宇宙の主の礼拝/12)退去許可/13)追儺儀式/14)閉式宣言
 四元素の神秘の食事
 祈禱と召喚
  エジプト式召喚/プター・タネンヴィへの讃歌/アモン・ラー・ハルマキスの礼拝/ヘルメス系召喚
第6章 黄金の夜明けの教義:その内容
 カバラ
  歴史的視点/カバラの原理/黄金の夜明け団のカバラ教義
 占星術
  歴史的視座/黄金の夜明け団の占星術
 占術
  歴史的視座/占術の目的/ジオマンシー/タロット/黄金の夜明けのタロット/他の占術形式
 錬金術
  歴史的視座/錬金術の原理/黄金の夜明けにおける錬金術
 スクライングとアストラル作業
  歴史的視座/スクライングの原理/黄金の夜明けのアストラル作業
 エノク魔術
  エノクの伝説/ジョン・ディーのエノキアン・システム/黄金の夜明けのエノク魔術
第7章 黄金の夜明けの魔術師の作業
 参入の目的
 魔術グループの血統という問題
 自己参入
 混合伝統グループ
 黄金の夜明け体系の安全装置
 エゴの問題
 魔術修行
  高潔/識別/選択、責任、および自己犠牲/奉仕/忍耐と辛抱
 真の参入者
訳者解説
付録Ⅰ 黄金の夜明け年表
付録Ⅱ 団員魔法名一覧
付録Ⅲ 用語集
参考文献
索引

著者・訳者について

【著者略歴】

<チック・シセロ>
アメリカ合衆国ニューヨーク州生まれ。ミュージシャン、ビジネスマンを経て、儀式魔術の実践家となり40年間に及ぶキャリアを有する。黄金の夜明け団の魔法体系を初めて世に開示したイスラエル・リガルディーと親交があり、1977年、アメリカに同団のテンプル(支部)を創設。1980年代初頭におけるリガルディーの黄金の夜明け団復活の試みを補佐した中心人物の一人。位階はシニア・アデプト。現在は妻のサンドラ・タバサ・シセロとともにフロリダ在住。サンドラとの共著に”Self-Initiation into the Golden Dawn Tradition”、”Ritual Use of Magical Tools”などがある。

<サンドラ・タバサ・シセロ>
アメリカ合衆国ウィスコンシン州生まれ。ウィスコンシン大学ミルウォーキー校学士(美術)。黄金の夜明け団シニア・アデプト。

【訳者略歴】

<江口之隆>
1958年、福岡県生まれ。魔術研究家、翻訳家。1983年、日本初の黄金の夜明け団の歴史書『黄金の夜明け』(共著、国書刊行会)を上梓。1984~85年にかけて英国・ウォーバーグ研究所で夜明け団研究を行う。魔術関係の著訳書多数。主な著書に『黒魔術・白魔術』(長尾豊名義、学研)、『西洋魔物図鑑』(翔泳社)など、訳書にクロウリー『ムーンチャイルド』(創元推理文庫)、リガルディー編『黄金の夜明け魔術全書』上下巻をはじめとする『黄金の夜明け魔法大全』シリーズなどがある。Webサイト・Twitterアカウント『西洋魔術博物館』を主宰。魅惑的な西洋魔術の世界に関するウィットに富んだ情報発信が幅広い層の人気を呼んでいる。

制作スタッフ

カバーデザイン:櫻井浩(⑥design)
校正:麦秋アートセンター
版権エージェント:株式会社日本ユニ・エージェンシー
DTP:株式会社キャップス
印刷:中央精版印刷株式会社
発行:株式会社ヒカルランド
編集担当:小澤祥子